プロ野球の人的補償とは?プロテクトって?丨過去の補償選手一覧も
プロ野球のオフシーズンの話題の一つといえば、選手の移籍情報ですよね。
2023年オフシーズンは以下の7選手がFA宣言を行いました。
- 西川龍馬外野手(広島東洋カープ)→オリックス・バファローズへ移籍
- 石田健大投手(横浜DeNAベイスターズ)→宣言残留
- 山崎福也投手(オリックス・バファローズ)→北海道日本ハムファイターズへ移籍
- 平井克典投手(埼玉西武ライオンズ)→宣言残留
- 山川穂高内野手(埼玉西武ライオンズ)→福岡ソフトバンクホークス
- 田村龍弘捕手(千葉ロッテマリーンズ)→宣言残留
- 松井裕樹投手(東北楽天ゴールデンイーグルス)→サンディエゴ・パドレス
FA権が行使され、移籍先が決まると気になるのが人的補償です。
2023年オフも西川龍馬選手の人的補償で日高暖己投手が広島東洋カープに、山川穂高選手の人的補償で甲斐野央投手が埼玉西武ライオンズに移籍することが決定しました。
当初 山川穂高選手の人的補償に和田毅投手という記事が出て驚いた方も多かったのではないでしょうか…!(結局甲斐野投手でそれはそれでびっくりでしたが)
本記事ではそんなオフシーズンの移籍事情を知るためにも重要な人的補償について詳しく解説します。
そもそもFA移籍について知りたいという方はこちらの記事もあわせてご覧ください。
人的補償とは?
人的補償とはFA移籍で選手を排出した球団が、FA宣言をした選手を獲得した球団から選手を獲得できる制度のことです。
ちなみに、選手を獲得することを人的補償、選手ではなく金銭をもらう場合は金銭補償といいます。
なぜ人的補償があるの?
FA移籍をする選手は中堅以上の選手で、ほとんどの選手がその球団の主力選手です。
そしてFAをする選手を獲得するためには、契約金や年俸など高額な金額を用意しなければいけません。
そうすると、どうしても主力の選手がお金を持っている球団に集まっていくことになります。
それでは戦力が偏ってしまうため、FA権が誕生した1993年から人的補償(もしくは金銭補償)の仕組みが作られているのです。
人的補償の仕組み
人的補償はFA移籍をしたすべての選手につけられるものではなく、その球団で年俸が高い選手上位10名までが対象となります。
年俸が高い順にランクが決められており、そのランクによって補償内容が異なります。
ランク | 補償内容 |
---|---|
ランクA (年俸額1位〜3位) | 選手1名+旧年俸の0.5倍の金銭 |
ランクB (年俸額4位〜10位) | 選手1名+旧年俸の0.4倍の金銭 |
ランクC (年俸額11位以下) | 補償なし |
例えばランクAの年俸1億の選手をFAで排出する場合、選手1名と5000万の金銭が補償されることになります。
また、人的補償で獲得したい選手がいなかった場合、金銭だけを受け取る金銭補償も選択可能です。
ランク | 補償内容 |
---|---|
ランクA (年俸額1位〜3位) | 旧年俸の0.8倍の金銭 |
ランクB (年俸額4位〜10位) | 旧年俸の0.6倍の金銭 |
ランクC (年俸額11位以下) | 補償なし |
プロテクトとは?
人的補償では該当の球団に所属しているすべての選手から選択ができるのではなく、以下に当てはまる選手は選択ができません。
- プロテクトされた28名の選手
- 外国籍選手(FA権取得により外国人枠の適用外になった選手を含む)
- 直近のドラフトで獲得した新人選手
- 育成契約選手
プロテクトとは日本語にすると「保護する」という意味があり、FAした選手を獲得した球団が、人的補償で排出したくない選手を28名選べる仕組みです。
ただし、この28人というのは決して多いわけではなく、試合ときにベンチ入りできる人数が25人ののため、普段試合に出ている主力選手を入れればほとんど枠が埋まってしまうことになります。
球団はどの選手をプロテクト枠にいれて、どの選手を外すのか熟考する必要があります。
人的補償で移籍した選手一覧
過去に人的補償で移籍した選手を一覧にまとめました。(2023年オフ時点)
年 | 選手名 | 球団(移籍前→移籍後) | FA移籍選手名 |
---|---|---|---|
1995年 | 川邉忠義 | 巨人→日本ハム | 河野博文 |
2001年 | 平松一宏 | 巨人→中日 | 前田幸長 |
2001年 | ユウキ | 近鉄→オリックス | 加藤伸一 |
2005年 | 小田幸平 | 巨人→中日 | 野口茂樹 |
2005年 | 江藤智 | 巨人→西武 | 豊田清 |
2006年 | 吉武真太郎 | ソフトバンク→巨人 | 小久保裕紀 |
2006年 | 工藤公康 | 巨人→横浜 | 門倉健 |
2007年 | 赤松真人 | 阪神→広島 | 新井貴浩 |
2007年 | 岡本真也 | 中日→西武 | 和田一浩 |
2007年 | 福地寿樹 | 西武→ヤクルト | 石井一久 |
2010年 | 高濱卓也 | 阪神→ロッテ | 小林宏之 |
2011年 | 藤井秀悟 | 巨人→横浜 | 村田修一 |
2011年 | 高口隆行 | ロッテ→巨人 | 大村三郎 |
2012年 | 高宮和也 | オリックス→阪神 | 平野恵一 |
2012年 | 馬原孝浩 | ソフトバンク→ オリックス | 寺原隼人 |
2013年 | 鶴岡一成 | 横浜→阪神 | 久保康友 |
2013年 | 一岡竜司 | 巨人→広島 | 大竹寛 |
2013年 | 脇谷亮太 | 巨人→西武 | 片岡治大 |
2013年 | 藤岡好明 | ソフトバンク→ 日本ハム | 鶴岡慎也 |
2013年 | 中郷大樹 | ロッテ→西武 | 涌井秀章 |
2014年 | 奥村展征 | 巨人→ヤクルト | 相川亮二 |
2016年 | 金田和之 | 阪神→オリックス | 糸井嘉男 |
2016年 | 平良拳太郎 | 巨人→横浜DeNA | 山口俊 |
2017年 | 尾仲祐哉 | 横浜DeNA→阪神 | 前田大和 |
2017年 | 高木勇人 | 巨人→西武 | 野上亮磨 |
2018年 | 内海哲也 | 巨人→西武 | 炭谷銀仁朗 |
2018年 | 長野久義 | 巨人→広島 | 丸佳浩 |
2018年 | 竹安大知 | 阪神→オリックス | 西勇輝 |
2019年 | 酒居知史 | ロッテ→楽天 | 美馬学 |
2019年 | 小野郁 | 楽天→ロッテ | 鈴木大地 |
2020年 | 田中俊太 | 巨人→横浜 | 梶谷隆幸 |
2021年 | 岩嵜翔 | ソフトバンク→中日 | 又吉克樹 |
2022年 | 張奕 | オリックス→西武 | 森友哉 |
2022年 | 田中正義 | ソフトバンク→日本ハム | 近藤健介 |
2023年 | 日高暖己 | オリックス→広島 | 西川龍馬 |
2023年 | 甲斐野央 | ソフトバンク→西武 | 山川穂高 |
人的補償に関するよくある質問
最後に人的補償についてよくある質問についてまとめました。
- 人的補償は必ず行なわれる?
-
球団で年俸が高いランキング10位までの選手がFA移籍をした場合のみ補償があります。
ただし、人的補償とは限らず、金銭補償を選択する場合もあります。
- 人的補償は誰でも選べる?
-
人的補償は以下の選手を除いた残りの選手から選ぶ必要があります。
- プロテクトされた28名の選手
- 外国籍選手(FA権取得により外国人枠の適用外になった選手を含む)
- 直近のドラフトで獲得した新人選手
- 育成契約選手
- 人的補償とトレードの違いは?
-
人的補償はFAで選手を排出した場合に、相手の球団から選手を獲得できる制度です。
トレードは双方の球団で話し合いを行い、選手を交換する制度となり、別物になります。
- プロテクトとは?
-
FAした選手を獲得した球団は、人的補償でとられたくない選手を28名まで選べます。これをプロテクトといいます。
プロテクト枠に入っている選手は人的補償で獲得ができません。
- 人的補償は拒否できる?
-
人的補償は原則として拒否はできません。
もし拒否をした場合は資格停止処分となり、試合に出場できなくなります。
まとめ
人的補償はFAで移籍した選手の代わりに、相手の球団から選手を獲得できる仕組みです。
戦力が一つの球団に偏らないためにも重要な仕組みであることがわかっていただけたのではないでしょうか。
選手の移籍情報はプロ野球のオフシーズンの楽しみの一つでもあるので、このあたりの仕組みも理解しておくとより情報を楽しめるので、ぜひ覚えておいてください。