セ・リーグのDH制導入はいつから?なぜ導入されない?反対している球団は?
日本のプロ野球では現在パ・リーグにのみDH制が採用されており、セ・リーグではDH制は採用されていません。
ですが、定期的にセ・リーグもDH制を採用するべきかどうか議論が繰り広げられています。
そこで本記事ではセ・リーグのDH制導入はいつになるのか、なぜ導入されないのかなど現状についてまとめました。
【結論】セ・リーグのDH制導入は現時点で未定
結論から言うと執筆時点でセ・リーグのDH制導入は未定です。
そもそもセ・リーグでDH制を採用するかどうか議論され始めたのは2019年のことです。
その歴史について見てみましょう。
オーナー報告で「(セも)DH制は使うべき」と提言。日本シリーズでソフトバンクに4連敗し「DH制というので相当差をつけられている感じがある」
NPBが日本シリーズで全試合DH制を導入すると発表。コロナ下の過密日程で投手の負担軽減を目的にソフトバンクが申し入れ、臨時実行委員会で特例として決定。
日本プロ野球選手会が、選手会総会で12球団の選手会長ら25選手にアンケートを実施。9割以上がセのDH制導入に賛成だった。
巨人がセ・リーグ理事会で21年の暫定的なDH制導入を提案。コロナ下での投手の負担軽減、野手の出場機会増などを理由に掲げ、山口オーナー名で提案書を提出したが、賛同を得られずに見送られた。
参考スポーツニッポン「「セ・パシャッフル」12球団監督会議で仰天プラン 魅力あるプロ野球へ聖域なし」
2020年のセ・リーグ理事会で正式に巨人の山口オーナーがセ・リーグにもDH制を採用することを提案しましたが、他の5球団に反対され結局見送られることになりました。
参考サンケイスポーツ「巨人・山口オーナー、来季セDH制導入に新提案 開幕から2カ月期間限定&チャンス限定DH」
その後は大きな動きがなく、現状維持を続けている状態です。
選手はDH制の採用に賛成してる人が多いんだね!
セ・リーグ以外のDH制導入状況
ここではパ・リーグがDH制を採用している理由や世界ではどのようになっているのかまとめました。
パ・リーグがDH制を採用している理由とは?
そもそもパ・リーグがDH制を採用した理由は「得点アップにより観客を増やすため」です。
パ・リーグがDH制を採用したのは1975年のことですが、当時のパ・リーグは人気がありませんでした。
導入前となる1974年の観客動員数はセ・リーグが約760万人だったのに対して、パ・リーグは約350万人と半分以下。
1973年にメジャーリーグのア・リーグがDH制を採用したことで観客動員数が増えたことにならいパ・リーグでも取り入れることが決定されました。
参考サンケイスポーツ「【教えて!ベースボール】なぜパ・リーグにDH制があって、セ・リーグにはないの?」
世界で見るとDH制を採用しているリーグが多い
ちなみに世界的に見るとDH制を採用しているリーグが多く存在します。
DH制を採用している主な国は以下の通りです。
- MLB
- メキシコ
- キューバ
- ベネズエラ
- プエルトリコ
- オーストラリア
- ドミニカ
- イタリア
- オランダ
- KBO(韓国)
- CBPL(台湾)
また日本ではパ・リーグのほかに独立リーグや社会人野球、中学生硬式野球などでもDH制が採用されていまsづ。
過去DH制を導入していなかったメジャーリーグのナ・リーグも2022年にDH制が採用されるようになりました。
日本のプロ野球はメジャーリーグのルールを基本としているため、セ・リーグでもDH制が採用される可能性がありますが、現時点で動きはありません。
世界的に見てもDH制を導入していないプロのリーグは日本のセ・リーグだけ…!?
セ・リーグがDH制を導入しない理由
セ・リーグがDH制を導入しない理由として、2012年2月時点でセ・リーグは以下の理由からDH制を採用しないことを公表していました。
- 野球の伝統が覆ってしまう
- いつ投手に代打を送るかなど戦術の面白みをなくしてしまう
- 投手も一人の野手であるという考え方
- DH制のルールがややこしくファンを混乱させる
- ベーブ・ルースやスタン・ミュージアルのように投手から野手にかわって成功した例がなくなる
- 仕返しの恐れがないので、投手が平気で危険球を投げる可能性
- いい投手は完投するので得点力は変わらない
- 投手成績、打撃成績の比較が無意味になる
- バントがなくなり野球の醍醐味がなくなる
参考ご隠居様の野球問答「日本野球機構 2012年2月3日時点のアーカイブ」
簡単にいうと「野球の醍醐味がなくなってしまうこと」と「伝統が変わること」を恐れていることがわかります。
野球の醍醐味がなくなってしまうのが大きな理由
セ・リーグのようにDH制を採用していない野球では以下のような楽しみがあります。
- 投手も一人の野手として投球だけでなく打撃や走塁も行う
- 投手にいつ代打を送るのかの読み合い
- 投手の打順を考えた守備の戦略
2023年シーズン日本一に輝いだ阪神タイガースの岡田監督も「(継投をにらみながら)打順をシャッフルしたり、投手に(打順が)回ってくるとか回ってこないとか。そういう醍醐味がないよな」という理由から反対しています。
参考東スポWEB「【阪神】DH反対論者・岡田彰布監督は〝駒の指し合い〟制し満面の笑み「今日の方が楽しかったな」」
パ・リーグがDH制を導入しているいま、このような野球の醍醐味を楽しめるのはセ・リーグならではです。
反対している球団一覧と理由
2023年1月18日に行なわれた12球団監督会議でのセ・リーグ6球団監督の意見は以下の通りです。
これまでの流れで見ても巨人がセ・リーグのDH制採用を強く推していることがわかります。
他球団の監督は「戦術の醍醐味がなくなる」といった理由で反対している声が多いようです。
2024年も1月16日に12球団監督会議が実施されるため、また最新情報があれば紹介します。
反対をしているのは広島?
セ・リーグのDH制を反対しているのは広島ではないかとの声があります。
これは二軍戦であるウエスタン・リーグでDH制の利用は各球団に委ねられているのにも関わらず、広島はDH制を採用していないためです。
ただし、これは一軍戦ではDH制がないことを考えての戦略だと考えられ、また他球団も反対していることから広島だけが反対をしてセ・リーグにDH制が採用されないというわけではありません。
DH制を採用するメリット
そもそもDH制を採用することにより以下のようなメリットがあります。
それぞれのメリットについて紹介します。
野手の出場機会が増える
現状のセ・リーグのようにDH制がない場合、野手の人数は8人までしか一度に出場できません。
しかし、DH制を採用すれば一度に9人まで出場できるようになるため、単純に野手の出場機会が増えます。
また怪我や年齢によりフル出場で守備に就くのが難しい選手もDHとしての出場なら可能な場合もあるため、DH制があったほうが出場機会が多いと言えるでしょう。
投手が投球に集中できる
DH制を採用することで、投手は打席に立ったり、走塁をしたりする必要がなくなるため、投球に集中できます。
その結果、先発投手が完投する可能性も高くなると言われています。
リーグ全体の得点が増える
当然ながら投手は野手に比べて打撃成績は落ちてしまいます。
実際に試合を見ていても投手には送りバントをさせることが多かったり、チャンスの場面では前の打者を申告敬遠して投手と勝負したりといった戦略がとられます。
通常であればアウトがとりやすい投手ではなく、打撃専門の選手が加わることで得点できる可能性が高くなり、結果的にリーグ全体の得点が増えると言われています。
国際試合への影響
メジャーリーグをはじめとして、各国のリーグではDH制が導入されています。
そのため、国際試合でもDH制が採用されているため、普段の試合からDH制での戦いに慣れておくことが重要だと考えられます。
セ・リーグのDH制導入に関するよくある質問
セ・リーグのDH制導入に関するよくある質問についてまとめました。
- セ・リーグのDH制導入はいつ?
-
セ・リーグでのDH制導入は未定です。
2021年に巨人から提案があったものの反対されて以降も話し合いは続けられていますが、大きな動きはありません。
- なぜセ・リーグにDH制は導入されない?
-
「野球の醍醐味がなくなる」「セ・リーグの伝統がなくなる」といった理由の反対意見があるためです。
- パ・リーグでDH制が採用されたのはいつから?
-
パ・リーグでは1975年からDH制が採用されました。
- DH制を導入するメリットは?
-
野手の出場機会が増える、投手が投球に集中できるといったメリットがあります。
セ・リーグのDH制は導入される?
セ・リーグのDH制は執筆時点で反対している監督が多く、採用されるまでまだ時間がかかりそうです。
ただ、MLBでもナ・リーグが2022年にDH制を導入したことから、今後セ・リーグにもDH制が導入される可能性はあるため、今後の動きに注目が集まります。
DH制がないことで「投手も含めて9人で野球をやっている」「代打などの采配による醍醐味がある」といった楽しみがあります。
一方でDH制があることで「投手が投球に専念できる」「野手の出場機会が増える」といったメリットもあるため、どちらを選択するかの議論は今後も白熱するでしょう。
みんなはセ・リーグのDH制導入は賛成?反対?良ければコメントで意見を聞かせてください!